収束のパラドックス
著者あとがき
※ 本編の内容に触れる記述を含みます。
収束のパラドックス
著者あとがき
私は小学生の頃から「自分の考え方は変わっているのかもしれない」と考えてきました。高知能者の集まる組織に所属しても、その違和感は消えず、知能指数だけでは測れない多様な認知の在り方を強く意識するようになりました。
本作の主人公、桐生遥香は私自身をモデルにしています。彼女の孤独感や責任感は、私が長年向き合ってきた感情そのものです。
東京大学在籍中にゲノミクス・遺伝学の周辺領域を学んだ経験は、デザイナーベビーのキャラクター造形や向知性薬の構想に大きく影響しています。科学技術が人間の本質をどこまで変えうるのか、そして変わるべきでない核心とは何かという問いは、この物語の中心テーマです。
本作の問いは単なる空想ではなく、今後確実に直面する現実的な課題です。知性の多様性をどう守るか、技術による格差をどう扱うかは、私たちが今まさに考えるべき問題です。
多様な知性が織りなす未来への希望を込めて、そして未来への警鐘を込めて、この物語を世に送り出します。
2025年5月、某所にて。